1-1. 生活費の不足や借金の増加
ギャンブルにのめり込んでいる人は、家計に回すべきお金や貯金をギャンブルに使ってしまうことがあります。生活費や家賃・ローンの支払いなど、必要な出費が滞るだけでなく、カードローンや消費者金融などで借金を重ねてしまうケースも少なくありません。
- クレジットカードのリボ払いを上限まで使う
- 消費者金融の多重債務に陥る
- 友人・知人からの借金や闇金に手を出す
こうした借入が日常化すると、家計そのものが崩壊し、家族の負担や精神的ストレスが増大していきます。
1-2. 財産の持ち出し・横領
さらに深刻な場合、共用口座の貯金や子どもの学資保険など、家族名義のお金を勝手に引き出してギャンブルに注ぎ込む可能性もあります。最悪の場合、家族や会社の資金を横領してしまい、法的なトラブルに発展することも珍しくありません。
2. 人間関係・家庭環境への悪影響
2-1. 信用の喪失と家庭不和
ギャンブル依存が進むと、本人はお金だけでなく嘘によって周囲の信用を失いやすくなります。
- 行動を隠すための嘘を重ねる
- 借金取り立てが家族に及ぶ
- 約束を守らない
これらが続くと夫婦間や家族間のコミュニケーションが壊れ、深刻な不和や別居・離婚につながるケースも多くあります。
2-2. ストレス・不安・孤独感
ギャンブル依存を抱える人と生活を共にする場合、家族側が常にストレスや不安を抱えるリスクも大きいです。
- 「また嘘をついているのでは?」と疑い続けなければならない
- 「借金は本当はいくらあるの?」という不透明さ
- 「取り立てが来るのではないか」という恐怖
その結果、家族側が精神的に追い詰められ、うつ状態になることもあります。周囲に相談しづらいため、孤立感を深めてしまうケースも珍しくありません。
3. 生活基盤の崩壊
3-1. 住まいの問題
借金が増えれば、家賃や住宅ローンの滞納につながる可能性が高まります。最悪の場合、住居を失うリスクもあるため、本人だけでなく家族全体の生活が不安定になります。
3-2. 仕事への影響
ギャンブルにのめり込んでいる人は、仕事のミスや遅刻、欠勤が増えるなど職場でも問題を起こすことがあります。職場の懲戒や解雇、信用の失墜による収入減など、収入面にも大きな悪影響を及ぼします。結果的に家族の生活を支える財源が失われ、ますます生活が不安定になるという悪循環に陥ります。
4. 子どもへの影響
もしギャンブラーと暮らす家庭に子どもがいる場合、以下のようなリスクが懸念されます。
- 経済的不安により、学費や習い事など子どもの教育に十分なお金をかけられなくなる
- 家庭内の不和やストレスを子どもが敏感に察知し、心身の成長に悪影響が出る
- 親(ギャンブル依存者)を反面教師にする場合もあれば、同じ依存行動を学習してしまう恐れもある
子どもの将来を守る観点からも、ギャンブル依存への早期対策や専門的な治療・サポートが必要です。
5. どう対処すべきか
5-1. 専門家への相談を検討する
ギャンブル依存は、自力で改善するのが難しい病気とされています。家族がいくら説得しても、本人が根本的な治療に取り組まない限り、問題は繰り返し起きる可能性が高いです。
- 医療機関(精神科・心療内科など)
- 自助グループ(GA:ギャンブラーズ・アノニマス)
- カウンセリング
これらのサポートを利用し、専門家の指導のもとで依存症の治療やリハビリを行うことが、改善への第一歩となります。
5-2. 家族の金銭管理・財産保護
家計や財産を守るために、口座やカードの管理を見直すことも重要です。
- 本人が簡単にアクセスできない仕組みを作る
- 家族や信頼できる第三者が金銭管理を代行する
- 法的な手段(任意後見や財産管理契約など)が必要になるケースもあり得る
5-3. 家族が一人で抱え込まない
家族がギャンブル依存者を支えようとしても、共倒れする危険があります。自分だけで抱えこまず、周囲のサポート機関や家族会、専門家に相談しながら、家族自身の心と生活を守ることを最優先に考えましょう。
6. まとめ
ギャンブル依存を抱える人と共に生活するリスクは、金銭的な破綻や家庭不和・信用の失墜から、生活基盤の崩壊、さらには子どもの将来にまで影響が及ぶ可能性があります。事態が深刻化するほど、依存本人と家族の双方が大きなストレスを抱える悪循環に陥りがちです。
- ギャンブル依存は医療でも「病気」と位置づけられており、早期治療・専門家のサポートが必要。
- 家族は、「本人を見放すのでは?」と躊躇せず、まず自分自身と家計・財産を守る行動を優先する。
- 一人で抱えず、カウンセリングや専門医療機関、自助グループなど外部の力を借りながら対処していく。
ギャンブル依存は本人の意志だけでは解決が難しい問題ですが、適切な治療と家族・専門家のサポートにより、回復への道が開ける可能性があります。家族も「自分の生活と安全を守る」ことを大切にしながら、必要なときには早めに行動を起こしていきましょう。