トリガーとは何か?

以下では、ギャンブル依存症の方が「ギャンブルをしたい」という強い衝動を感じてしまうきっかけ(=トリガー)について解説します。ギャンブルの衝動は、自覚がないまま日常のあらゆる場面で呼び起こされてしまいがちです。自分のトリガーを把握しておくことで、衝動をコントロールする一助になります。


1. トリガーとは何か?

**トリガー(Trigger)**とは、依存症において「きっかけとなる刺激」のことです。依存者がその刺激に触れると、欲求や衝動が高まり、ついギャンブルをしたくなってしまいます。たとえば、禁煙中にタバコの煙の匂いで吸いたくなるのと同様、ギャンブル依存でも様々な要因が衝動を引き起こす可能性があります。


2. ギャンブルの衝動を呼び起こす具体的トリガー

2-1. 視覚的・聴覚的刺激

  • パチンコ店の看板やライト
    派手な電飾や看板を目にすると、脳内で「楽しかった記憶」が呼び起こされ、衝動が走る。
  • スロットのリール音、パチンコ玉の音
    店の前を通ったり、テレビやインターネットのCMで効果音を聞いたりするだけでもギャンブル意欲が湧いてしまう。

2-2. お金に関する話題・状況

  • 突然の出費や経済的プレッシャー
    「今月お金が厳しいから一発逆転したい」という思いから、ギャンブルで取り戻そうとする衝動に結びつく。
  • 給料日やボーナスのタイミング
    手元にまとまったお金が入ると「少しだけなら…」という軽い気持ちでギャンブルを再開しやすい。

2-3. 感情的トリガー

  • ストレスや不安
    職場や家庭での問題、人間関係のストレスなどが限界に達すると、現実逃避や気晴らしを求めてギャンブルの衝動が強まる。
  • 寂しさや孤独感
    一人の時間が長い、孤独を感じると、ギャンブルに夢中になることで寂しさを紛らわせようとしてしまう。
  • 怒りや失望、挫折
    勝ってスカッとしたい、気晴らしに打ち込みたい、という感情のはけ口としてギャンブル欲求が高まる。

2-4. 周囲の誘惑や誘い

  • 友人や同僚の誘い
    「みんなで行こう」と声をかけられると断りにくく、依存から抜け出そうと頑張っていてもつい参加してしまう。
  • SNSやコミュニティでの話題
    ギャンブル仲間やSNS上の繋がりから「今日は勝った」「儲かった」などの話を目にすると、衝動が刺激される。

2-5. 過去の勝ち体験や成功体験

  • 大勝ちした記憶
    かつて大きく勝った瞬間の高揚感や快感を思い出すだけで、ギャンブル欲求が呼び起こされる。
  • 損を取り返そうとする思い
    大きく負けたときの悔しさが残っていると、「次こそ勝って取り戻したい」というリベンジ衝動が働く。

3. トリガーへの対策

3-1. 物理的な回避策

  • ルートを変える
    パチンコ店や競馬場の近くを通らないように生活動線を見直す。
  • 関連アプリやサイトのブロック
    スマホやPCからギャンブル関連のブックマークやアプリを削除し、可能ならブロックツールを導入する。

3-2. 感情面のケア

  • ストレスマネジメント
    運動、趣味、マインドフルネスなどを取り入れ、ギャンブル以外の健全な解消法を身につける。
  • 不安や寂しさを共有できる仲間や場所を作る
    カウンセリングや自助グループ(ギャンブラーズ・アノニマスなど)で話を聞いてもらい、孤立しない環境を整える。

3-3. お金の管理を徹底する

  • 財布やクレジットカードを持ち歩かない
    どうしても使ってしまうなら、家族や信頼できる人にカード類を預ける。
  • 家計を見直し、予算を厳格に設定
    目の前に大金があると衝動を抑えにくいため、貯金も含めて仕組み化する。

3-4. トリガーをリストアップして意識する

  • 自分のトリガーを紙に書き出す
    「パチンコ店の灯りを見たとき」「給料日後」「嫌なことがあったとき」など、具体的に明文化する。
  • トリガーに直面したときの対処法を決めておく
    例:「店の前を通りそうになったら、早歩きで通り過ぎる」「ストレスがたまったら○○さんに連絡をする」など、すぐ行動できる対策を用意する。

4. まとめ

  • ギャンブルの衝動を呼び起こすトリガーには、視覚・聴覚的刺激、お金に関する状況、強い感情、誘いの環境、過去の勝敗体験など、様々な要因があります。
  • 自分がどんなときに衝動が強まるのかを把握し、意識的に回避策や代替行動を用意することが有効です。
  • 依存症は習慣化された行動パターンでもあるため、トリガーを避ける or 遇したときに代わりの行動をとるという工夫を繰り返すことで、ギャンブルと距離を置きやすくなります。
  • 必要に応じて、専門家や自助グループのサポートを受けることで、トリガーと上手に付き合いながら依存から抜け出す手助けが得られます。

ギャンブル依存症は、思考や行動が無意識のうちにギャンブル中心へ向かってしまう病気です。まずは「衝動が湧く場面」を自覚し、具体的な回避策・対処策を身につけましょう。小さな回避や対処を積み重ねることで、衝動をコントロールする力を育てることができます。

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